久しぶりに夫が早く仕事から帰ってきて
平日夜の、久しぶりの家族時間。
洗い物をしている後ろで夫と娘がおしゃべりをしている。
私は水の音で、はっきりとは聞こえない。
だから、どういうきっかけだったのかはよくわからないけれども
とにかく、その夜、
娘が初めて、夫を「お父さん」と呼んだ。
実は、昔から夫は、職場の親しい人たちから呼ばれている愛称があり
結婚前は私と娘の間では、彼のことはその愛称で呼んでいた。
結婚してからは、私は、下の名前を呼ぶようになったけど娘は、愛称のまま。
私は、無理やりお父さんと呼びなさいとは言わなかった。
だって、娘からしてみたら、
「今日からこの人があなたのお父さん。だからお父さんと呼びなさい」
なんて、単なる「大人の勝手」かもしれない。
娘にとって夫は、法律上では、養父。
だけど、
夫に対しては、無理に父親にならなくてもいい
娘に対しては、無理にお父さんと呼ばなくてもいい
そう思ってました。
私のパートナーであり、娘の2人目の保護者
まずはそれでいい、と。
私が再婚するとき、
夫と娘の血の繋がりがないことから
これから家庭を作っていくことに、やや肩に力が入ってたように思う。
普通の家族とは違う、特別なある種の努力が必要だと。
でも、
「まるで家族のように過ごしていれば、いつか本当に家族になれる」
そう思って
「まるで家族みたいに」生活していけばいいんだ、と少し力が抜けた。
それで始まった、夫と娘との生活は、毎日が楽しくて幸せだった。
小さな幸せが、たくさん散りばめられていた。
娘と私、どちらも泣きながら言い合いをしたこともあったけどね。
実は、再婚は、怖いとも思っていた。
血が繋がらない父親が子どもを虐待したり
子どもが疎ましくなった母親が、子どもを殺してしまったり
世の中には、あまりにも悲しくてやりきれない事件が山のようにある。
だから、子連れ再婚なんて
リスクの大きいことだと思っていた。
そんなリスクを負うくらいなら、このままシングルのほうがいい、子どものため、と。
再婚したいけれど、
世の中のこんなニュースに触れるたび
やっぱり再婚はやめておこうと自分に言い聞かせている人がいたら
私は伝えたい。
そういう世界もたしかに存在する。
でも、
再び家庭を築いて、幸せを感じながら
生きている人たちもたくさんいる。
あなたは、どちらの世界を見たいのか?
ということ。
先日、ある雑誌の記事で書いてあったことで強く共感したのでここに。
「家族」は日本語では名詞として使うが、「家族する」と、動詞のように使った方が、適切なのかもしれない。
家族は、初めから家族にはなれなくて
一緒に食べ、一緒に寝て、一緒に何かを見て、一緒に出かけて…
そういう行動によって、家族になるのだ、
ということ。
私は、子連れ再婚が、避けるべき大きなリスクではなく
自分が心から望んだ世界で、チャレンジする価値のあるものと感じた。
虐待や子殺しという世界でなく
血の繋がりがないところにも、ちゃんと愛があり、幸せな世界があると
そう信じた。
「まるで家族のように」生きてきた1年。
「お父さん」と言う娘の声を聞いて、
私は、自分の望んだ世界への道を選んだのは間違いではなかった、と感じた。
まだまだこれからいろんなことがあると思う。
でも、私たちは、大丈夫だとただ信じることができる。
私はそういう世界を見て、そういう世界で生きたいから。
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